社会人としてあるべき姿を考える
第8回産業論文コンクール 努力賞
ニッタ(株) 山田 靖子さん
成功には運と縁が必要です。運と縁をつかむには、日頃の努力が大切です。」これは、大学卒業式での社会人となる私たちに卒業生に贈られた学長の言葉である。確かに、寝て待っているだけでは成功は飛び込んでこない。しかし、社会人生活において「日頃の努力」とは何を指すのか。私は、周囲の人との交流・目標設定と目標達成について考えること・継続して勉強することの三つの要素が「日頃の努力」ではないかと考える。これらのことから、社会人としてあるべき姿を考えたいと思う。
最初に「日頃の努力」として挙げるのは、人との交流である。まずは周囲に「私」を知ってもらうことが肝心だと考える。挨拶をする、言い訳をしない(素直になる)、人の話を聞く、約束は守る。人と関わる時に忘れてはならない事柄である。うっかりないがしろにしてしまいがちなこれらの事が、社会人としてもやはり大切だと実感したのは、社会人一年目の一年現場研修の時である。私の会社では、現場研修と称して、一年間社内のあらゆる部署を研修し、ものづくりの現場を知る・会社全体のことを知る・人とのつながりを知るなどの目的の制度である。その研修で、学生生活では接点の無かった様な人とも、会えば「あ、元気?」と会話が始まる関係を作ることができた。挨拶はきちんとする等、先述の事をきちんと行った結果であると、ここは自分を評価し、そして自然に受け入れて下さった周囲の人たちに感謝している。そうして人とのつながりを持てたことは、今の仕事・生活で私の大きな支えになっている。困った時、協力を得やすい環境づくりをこの現場研修でさせて頂いたと思っている。更に目標となる先輩も見つかった。現在はそういった周囲の人々に助けてもらってばかりである。いつかは「聞きたいことがあれば気軽に声を掛けて下さい。」と言うことができる先輩になろうと決意している。こうして地道につながりを広めることが、成功を招く道作りであり、「日頃の努力」の基礎であると考える。社会人として、忘れてはならないエッセンスである。
「日頃の努力」の二つ目の要素として挙げるのは、目標設定と目標達成について考えることである。(目標達成=成功とする)仕事において目標はとても重要だと考える。目標があってこそ、成長があるからだ。以前に上司にこんな話をしてもらったことがある。「目標を持ちなさい。そして、どうやって実現するか考える。実現するために考えた、今の自分のできる事・できない事を明確にしなさい。できない事については、自分で勉強して補う、周囲に相談する等試行錯誤する。そうやって自ら成長しなさい」と。目標設定が無ければ、自分のやるべきことを見失う。漫然と目の前にある仕事をするだけ、それは確かに社会人として私が思うあるべき姿ではなく、成長も見込めない。何か目標を立てる。目標があることで、自分の力量が分かる。足りないものを補う。目標達成=成長となるのが、理想のコースである。また、仮にその目標を変更するとしても、その目標に向けて得た知識は、知識のリサイクルとしていつか日の目を見ることが有るかもしれない。それも目標をたてる効果だと思う。闇雲に走るのではなく、目標を持つ。その達成を意識して成長をすることが、「日頃の努力」であり、社会人としてあるべき姿だと考える。
最後の「日頃の努力」の要素として挙げることは、勉強を続けることである。次のことわざは、身につまされる教訓である。「学如逆水行舟,不进则退。」(学習とは、川の流れに逆らって船を漕ぐようなものである。進まなければ即ち流されて後退あるのみ。)つまり、こつこつ継続して学習しないと何も身につかない、との意味である。現在私は簿記とパソコンの勉強が必要だと感じている。しかし、継続して勉強しているとは言えない。いつまでも覚えられないまま、勉強した気にだけなっている。そんな三日坊主なやり方では、いたずらに寝不足になるだけである。継続してひとつひとつ、苦手からの脱却を図っていく。そうすることで突如成功のチャンスが舞い込んできたときも、狼狽えず手から取りこぼさずにしっかりと捕まえることができるのだと思う。成功を捕まえる準備として、文字通り日頃から努力して勉強しなければならない。
人とのつながりで成功を招く道を整える。目標を持つことで、考えながら成長する。勉強することで、成功へのチャンスが舞い込んできたときに備える。これらの積み重ねが、私の思う社会人としてあるべき姿となるだろうと考える。働く上で、常にこれらを実践できるとは限らない。それでも、頭の片隅において仕事に取り組むことは、決して無駄にはならない。「成功には運と縁が必要です。運と縁をつかむには、日頃の努力が必要です。」との教えどおり仕事に向かうことが、今の私がすべきことである。