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チーム力

第8回産業論文コンクール 努力賞
GMB(株) 宮城 真美さん

 2012年夏、2週間にわたってイギリスの首都ロンドンで第30回夏季オリンピックが開催された。連日テレビで放送される試合を、寝不足になりながらも見ていた人は少なくないだろう。本大会の日本人選手のメダル獲得数は、金メダルは目標獲得数に及ばなかったものの、総メダル獲得数は過去最多となる38個となり、24競技中13競技と、競技数の半数以上もの獲得と好成績を残した大会となった。

そんなロンドンオリンピックだが、この大会中を通してよく耳にした言葉があった。それは「チーム力」である。今回の大会では団体競技でのメダル獲得が目立ち、その素晴らしいチームプレーに多くの感動をよんだ。

私が特に印象に残っている競技は、水泳男子メドレーリレーである。日本人史上初の3大会連続金メダルが期待されていた平泳ぎの北島康介選手は、個人種目ではメダルに手が届かず終わってしまった。だが最後の400メートルメドレーリレーで同種目史上初の銀メダルを獲得し、北島選手はインタビューで「最後は自分らしい泳ぎができた。チーム力でメダルを取らせてもらったのは大きなご褒美だった」と語った。同じメドレーリレーに出場していた入江陵介選手は「27人でひとつのリレーをしていた。4年前は銅だったので、銀を取りたいと言っていた。本当にうれしい」とコメントし、メドレーリレーはチーム力を活かした感動の名場面として何度も放映されていた。「メダルを取る!」という一つのゴールに向かって強く願い、挑んだ事でなし得た銀メダルだったのだ。その他にも、サッカーやバレーボールなど、チーム競技でのメダルの獲得が相次ぎ、ロンドンオリンピックを語る上で「チーム力」は欠かせないワードとなった。

 そんな注目を浴びる「チーム力」だが、チームとはそもそもどのようなものだろうか。チームという単語を調べてみると、「同じ目標に向かい協力し、結果をだし、その達成を喜び分かち合う仲間」とうことらしい。つまり、同じ目標を持つ仲間と結束し、ゴールに向かって共に励み、結果を得ることがチーム力となる。

 ロンドンオリンピックで見られた日本の「チーム力」は大きな反響をもたらし、日本中に大きな感動を与えた。その「チーム力」をビジネスシーンに当てはめてみるとどうだろうか?

 私は物流業務を担当しており、具体的には輸出するための船積みが出来るよう手配している。社内の中で考えると、工場でたくさんの人の手を介して作られた大事な商品を、お客様へ届けるための一過程を担っている。それは受注、生産、出荷というプロセスの中の一つのようにも見える。だがそのプロセスの中にも、リレーで次の人にバトンを渡すように、受注を入れるから生産され、生産されるから出荷でき、そこで私は初めて商品を船積みできるのである。そのリレーのバトンを見ずに、フライングして走りだしたり、バトンを渡そうとしている人に気づかなかったりすると、チームワークが乱れ、ゴールには辿りつけなくなってしまう。まして個人プレイに走ってしまう、なんて事はもってのほかである。きちんとバトンを受け取り、そのバトンをつなぎゴールとするお客様に届けなくてはいけない。

 入社した当初は、自分の担当する仕事だけで精一杯だった。しかし、ある時受注を担当する先輩から言われた言葉があった。ある商品を急いでお客様の元へ届けなければいけないという事があり、受注から出荷まで通常よりハイスピードで行わなければいけなくなった。生産を早めて出荷も最優先、私も商品が出来ればすぐに船積みしてほしいと言われた。予定通り納期に合わせて船積みを済ませた時に先輩から言われたのが、「素晴らしいチームプレーだった」という言葉だった。そう言われて初めて、自分以外のプロセスを担う人達と連携して船積みしているのだと実感することが出来た。それ以後は私の担当部分だけでなく、前後のプロセスも意識しながら仕事をするようになり、周りとの連携を大事にしようと考えるようになった。

 このように会社の中でも、それぞれ担当は違っても実は一つのチームであり、同じ目標に向かって日々邁進している。お互いを尊重しあい、バトンを繋いでゴールを目指す事がチーム力なのだと感じた。

 企業においても「チーム力」を大事にしている所は多数存在する。例えば、iPhoneなどで有名なapple社の今は亡きスティーブ・ジョブズ氏は以下のように言っている。「全体の力は、部分としての個人力を集めたよりもはるかに大きい。個人では決してなしえないことがチームなら可能となる。それがチームの素晴らしさだ。」個人がいくら優秀であったとしても、素晴らしいチームには勝てない。こうしたチーム力が糧となり、appleの斬新なアイデアが生まれてきたのかもしれない。チーム力が存分に発揮される最高のチームになるためには、お互いの信頼関係をベースに、それぞれを尊重し支援し合う事が重要だ。不平、不満、諦めなどを感じている人が一人でもいれば、それは最高のチームとは言えない。それを一つずつ解決し、各々の意識を高められる環境を創って行く事が、とても重要となる。まず私は自分の力量を理解した上で、一つ一つ物事を解決し、時には人に助けを求め、時には頼りにされるような人となり、協働できるよう努めたいと思う。

 ギリシャ危機などの欧州不安によるユーロ安も加わって、近年まれにみる円高が進み、日本の産業は厳しい状況に置かれている。今だからこそ、チーム一丸となり乗り切らなければいけない時なのではないだろうか。

 私たち「チームGMB」もチーム一丸となり日々闘っていきたいと思う。

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