私が目指す道
第8回産業論文コンクール 努力賞
(株)アイプリコム 河野 真緒さん
私は働く上で大切な事は、信用と信頼を得る事だと考えています。
そう考える様になったのは、入社前に、ある二人の方に出会った事がきっかけでした。
一人目であるその女性(以後Kさん)は、ぬいぐるみ作家をされており、会社に属さず一人で営業・制作・販売をこなし、多忙な日々を送られている方でした。
また制作するぬいぐるみは、亡くなった犬の写真を元に、本物そっくりに作り上げ、思い出を形にするというものでした。
私は、ある百貨店でKさんのぬいぐるみ販売のお手伝いをさせて頂いた事があり、その中で驚いた事が3つありました。
1つ目は以前注文を受けた方へ販売会の案内状を送付した際には、案内状を受け取ったお客様が、それぞれKさんの顔を見に来られ、新たな注文をお願いしたり、応援の言葉をかける光景を見た時。2つ目は、完成したぬいぐるみを受け取りに来たお客様が、ぬいぐるみを見た瞬間、感激の涙を流された時。3つ目はKさんの質の高い商品を作るだけでなく、その後のアフターケアまできちんとこなす姿勢を見た時でした。お客様がぬいぐるみの手入れに関して電話があった時も丁寧に対応し、不十分な時は手入れの道具を無償で郵送するなど、お客様の事を第一に考えて行動されていました。
私はそれらを目の当たりにして、働くという事は必ず相手がいて、一人で成立する事ではないと感じました。よい仕事をするという事はお客様が満足する物を提供するという事、すなわち信頼や信用を得る事だと思うのです。
それが客観的な自分の評価になり、自分を造り上げていくのだと感じました。
また、Kさんからは女性一人で社会を渡っている力強さが漲っており、私もこういう風に生きたいという刺激を貰えた方でした。
二人目は職業訓練で出会った講師(以下Y先生)の方です。その職業訓練はパソコンスクールで行われ、Y先生は社長兼講師の2つを担っておられました。そのY先生がおっしゃった事でとても印象に残っている言葉があります。
それは「会社作りは人選び」です。「お客様からの信用と信頼を得る事は、会社の顔となる人選びから既にスタートしている。」これを聞いた時、私は正にその通りだと思いました。雇う人も雇われる人も共に働く人間をお互いに真剣に見定めなければならないのだと感じたからです。また「周りから信用と信頼を得る事が仕事の上でとても大切。「この人の頼みなら断れないな」と思ってもらえる様な人にならないといけない。」ともおっしゃっていました。これらの話を聞いて、私は常にそういった意識を持って働く事が重要なのだと思いました。それは、信用信頼は一日二日で得られるものでは当然なく、それらを得られるという決定的な方法もありません。しかし、お客様の立場に立って物事を考え仕事をするといった毎日の積み重ねが自分の糧になって、実を結ぶのではないでしょうか。
これらの経験から、「この人になら仕事を任せられる」とお客様からも会社からも思って頂けるような人材になろうという目標を掲げて、日々仕事に励んでいます。
私は印刷会社のDTPオペレータとしてまだ入社四ヶ月目で分からない事も多く、毎日が戦いですが、きちんと目の前の仕事を確実にこなしていく事で目標に近づいていけると確信しています。また仕事の勝手が分からず、嫌になってしまいそうな時は、仕事は自分の為にあるのではなくて、それを求めているお客様の為にあるのだと考える事で、ここで止まってはいられないと前向きに考えられるようになりました。仕事をしていると「なぜこの仕事にはこの作業が必要なのか?」という全ての事に「なぜ?」という疑問がついて回ります。この疑問も放っておかないで「聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥」とある様に必ず確認を取るようにしています。これも、ここで解決しなかったが為に、後で大変なミスに繋がる可能性があるかもしれないと考えるからです。
私は仕事上、お客様と直接お話をする機会はなく、お会いする事もありません。営業の方から指示を貰って、紙面をレイアウトし、それを完成させる。お客様と直接顔を合わせる事が無いものの、常にお客様を意識し、責任感を持って仕事をするよう心がけています。
これから、色々な知識を吸収して、社会の役に立てるような人材になれるよう努力したいと思います。