モノづくりに出会ってからの私
第5回産業論文コンクール 努力賞
小山(株) 仲西 彩香さん
不安で一杯でした。高校を卒業して2ヶ月間が経ち、私は新たなスタート地点に立っていました。それは社会人という立場です。
多くの友達は大学へ進学していきました。私も最初は進学を考えていました。しかし、一人っ子として大切に育てて貰った家族へ成長した自分を見て貰う事で親孝行になると思い就職を決意しました。
私は高校三年間で勉強とアルバイトを両立させてきました。飲食業のチェーン店で働いていたので今の仕事とは違い完全なるサービス業だったので仕事への考え方も少し変わってきたと思います。サービス業では、相手のお客様が第一だと思っています。製造業も、お客様第一なのですが、顔と顔を合わせて話しをする分でサービス業の方が心が伝わりやすいと思います。職種で例えてみるなら介護業界等は代表的なサービス業になると思います。高齢の方や身体の不自由な方々に対する想いが反映される職業だと思います。何より毎日同じ事の繰り返しとならない事が大きな相違点だと感じる事が多くなりました。
しかし、自分が初めて出会った製造業の世界で少しずつですが、気持ちに変化が出て来ています。今まではサービス業で毎日変化のある仕事という考え方とのギャップで悩んだ日々があったのですが、製造の仕事を続けていく内に自分が経験した事の無い事が多くある事を知りました。
入社して私は今4ヶ月が経ち5ヶ月目も間近に迫っている状況です。最初の1ヶ月は、繰り返しの毎日だと思っていました。基本的に個人の職場の場所は決まっているので変わる事は無いと思います。朝から晩までの機械相手のライン生産です。私は洗い終えたシーツをアイロンを掛ける機械の中に通す仕事をしています。濡れているシーツは絡まり易くなっていて解くのにも力が要ります。アイロンの機械へシーツを通すので指と指の間が摩擦で摩り切れてしまいます。自分一人で仕事が出来ないと泣いてしまった事もありました。けれども、その期間は私にとって凄く成長出来た1ヶ月だったと思います。同じチームの先輩やサブリーダーやリーダーといった職場での身近な人々に新しい仲間として支えて貰ったのを覚えています。この時に私は製造業の素晴らしさを感じました。私達が機械に通す一枚一枚のシーツを使っている人々の顔は見る事が出来無いし、直接解れ合い話しをする事も出来ないという事の反面で毎日同じ作業を繰り返す仕事ですが、毎日同じ事を繰り返す事だけの日々では無い事を教えて貰い知る事が出来ました。辛く辞めたいと思う事は何回もありました。しかし、その気持ちを乗り越える事こそが、自分にとって精神的に成長出来て更に毎日が違う1日を過ごし全力で仕事に打ち込める秘訣だと思います。
もう一つはライバルの存在です。私と同期で同じラインに入った子の存在が私の中で凄く大きくなっていると思います。同期という事で同じ年でやっているので相手の仕事を意識してしまいますし、負けたくないという気持ちになります。支え合いライバルとなり、お互いが切磋琢磨する事で高めていきたいと思っています。
そして何より変わったのが、高校生時代のアルバイトと、社会人として仕事をするという事の違いを何より感じています。アルバイト時代とは全く違った職種に就いてみた事に対する仕事の違いとは別に、社会人として掛かる自分への責任と自覚が業務教育や学生時代と違い大きくなっている事を深く知りました。甘い考え方では仕事はやっていけないという事を自分で考えていかなければなりません。モノづくり業はライン生産の会社が多いと思います。しかし機械相手と思うのではなくてラインの一連の作業手順と関わっている人々の繋がりを考えれば、自分が通すシーツの一枚一枚にも気持ちを込められると思います。自分一人の手だけではなくて皆の力がモノづくりに出会って自分の誇りを持てる仕事をしていく自信へと繋がっていく事だと思います。来年は新たに新入社員として私の下に入ってくるかもしれません。その時は、私がモノづくりという製造業の素晴らしさを教えてあげられるような先輩になりたいと思っています。そして、この事こそが、モノづくりと出会った私の精一杯見せられる答えになると思います。