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仕事は自分を映す鏡

 第20回産業論文コンクール  優良賞
 ニッタ株式会社奈良工場  田中陸人 氏 

 仕事は自分を映す鏡

 私が研修を終えて、現在の部署に配属されてから約1年になる。この1年は慣れないことが多く、新しい環境に急激に慣れる必要があった。改めて振り返っても、仕事がうまく仕事が進まなかったことがほとんどで、「仕事をうまく進めるには…」と考えることが非常に多かった。業務外でも悩み続け、喫茶店で1日悩む日もあった。そんな悩みを解決しようとする日々の中で、上手く仕事をこなす為の手がかりを見つけた。
 それは、「仕事は自分を映す鏡」だということである。この1年間、私は仕事がうまく進まないことが多かった。なぜうまく進まないのか振り返ると、自身の不得手に起因していることが多いと分かってきた。この不得手について当初は全く分からなかったが、「鏡で自分を見る」すなわち上司・他者からのアドバイスなどを通して、自分のことを知ることで、不得手について意識・対策可能なことがわかった。鏡を通して実感した自分の不得手を以下に2点述べる。

①   計画性

 私は本部署に配属された時、計画性(計画を立て、計画通りに進めること)が非常に不得手だった。実際、立てた計画が定時までに終わらないことが多かった。また、各作業に想定以上の時間がかかり、客先に提出するサンプルの準備がかろうじて間に合うことや、簡単な対応でも間に合わず、部署の方々に半分も手伝ってもらうこともあり、迷惑をかけていた。
 計画性について悩んでいた時、上司に自身の予定を見てもらう機会があった。予定を見せると「予定を入れすぎている、自分の業務能力を把握しているのか」と言われた。その言葉がきっかけで計画時・業務の様子を省みた。すると、「終わるだろう」と思って本来は2日程度かかる作業を無謀にも1日で組んでいた。さらに、計画外の資料作成や事務作業が気になり、作業を中断し取り組んでしまうこともあった。その結果、必要のない残業を2時間も行い、早く帰るよう言われることが多々あった。これらの行動を省みたとき、「自分の能力を把握していないこと」および「言われると早く取り組まないといけない、あれもこれも取り組まないと」と焦る性格に原因があると考えた。この2つの原因に対して以下の対策を行った。

 1つ目の原因の対策として、今まで予定のみ記載していた計画表に実績を示すことにした。これらの実績を参考にして、自身の業務にかけている時間を「見える化」した。具体的な例を挙げると、8個のロットを2水準、試行回数3でサンプル評価をすると2時間必要なことが判明した。この2時間は以前までの私であれば1時間と判断していた。このように実績を把握しながら予定を立てることで、現在では計画・実績の差異による残業は半分になった。この取り組みから実績時間を把握する、すなわち自分の業務を鏡として見返さないと、計画立てがうまくできず、仕事がうまく進まないことを学んだ。

 続いて、2つ目の原因について対策を考えた。以前の私は「言われて取り組まないと不安だ、焦ってしまう。」という性格だった。併せて、自己能力を把握できていないこともあり、他の業務が気になれば、そちらに取り組み、余計な時間がかかっていた。この性格の対策は、メモやメールの予定表・週報・タスク表などを通じて、業務や納期を忘れないように「見える化」し、目の前の業務に集中して取り組むようにした。以前より、どんな業務が残っているかという不安が減少し、目の前の業務に集中し取り組めるようになった。この取り組みで、自分のタスクを「見える化」すなわち鏡のように客観視することは、私にとって計画通りの仕事をするために重要だと感じた。

 自身の業務時間や性格・上司のメッセージという鏡を用いて自分を省みることで、上記2点の対策を立て取り組み、改善できた。この取り組みを通し、自分自身の仕事や性格を「見える化」することが大事だと学んだ。取り組みを続けていくことで、計画性を得手にし、多くの仕事を効率よくこなせるようになりたい。

 ②   「聞くこと」と「聞き方」

 私は職場の上司や先輩に分からない事を聞くことについて、簡単だと思っていた。学生時代は、授業で分からない事があればすぐ質問し、研究室でも同様にすぐ教授の部屋に行ったからだ。しかし、実際に仕事で聞くとなると非常に難しいと感じ、ある出来事がきっかけで聞くことが嫌になった。その原因は、職場で質問した際、嫌そうな顔をされたからだ。以降は、仕事について聞きづらいと思い、聞くことが遅くなっていった。その結果、納期にかろうじて間に合ったこともあった。また、自分で解決できないことについて1日中悩んでしまって、半日無駄にしたこともある。このままではよくないと考え、なぜ嫌な顔をされたのかについて、自分の視点と相手の視点を、鏡を用いて分析し対策を考えた。

 まず、私は自分がどのような言葉を話しているか上司からアドバイスをもらった。結果として、物事を教えていただいた時に「ありがとう」や「すみません」が抜け、自分の意見をまくし立てるように言うことが多かった。自分では言ったつもりでも、実際には感謝や謝罪の言葉が無かったと知り、非常に驚いた。同時に、聞いた時に雰囲気が良くないと感じる原因だと明確に感じた。対策として、感謝の言葉を伝えるようにすると、聞いた後の雰囲気が良くなり、普段から聞きやすい雰囲気になった。この取り組みから、実際に自分がどのように話しているか、自分では分からないと実感した。鏡として相手の意見を聞き、自分を知ることが「聞くこと」において重要だと感じた。

 また、他の聞き方についても省みた。すると、何回も連続で聞く・同じことを何度も聞くと嫌そうな顔をされることが多かった。これらも直す必要があると感じた。対策として、あらかじめまとめて聞くことや質問数を提示して聞くこと・質問が多くなってしまう時や同じことを再度聞く時は、文頭に断りを入れることなどを行ってきた。その結果、以前よりも快く質問に答えてもらえることが増え、日頃から声をかけてもらえるようになった。この経験から、聞き方は色々な要因で相手に影響を与え、それが鏡として自分に返ってくることが分かった。ある聞き方をしたときに相手にどのような態度をされるか注意していくと、良い「聞き方」に繋がることを学んだ。

 対策の結果として、快く回答していただけることが多くなったが、まだまだ鏡を用いて自分の話し方を見返すことで改善できることがあると考えている。聞くことは非常に難しいが、1つ1つ分析・対策をすることで、円滑なコミュニケーションを取りあえる社会人になりたい。

 この1年間の仕事において、自己・他者分析、アドバイスなどで自分を知ること、つまり自分を鏡で見なければ解決できないことが多かった。このような職場での経験ならびに克服する対策及び解決は、自分を鏡で見たから、気づけたようなものだ。そのため、仕事の手順を覚えたりするだけでなく、自分を知って改善と向上を続けることも大事だと知らされた。

 裏を返せば鏡を使うことで自分を把握し、不得手を得手まで昇華させることができれば、仕事での成功につながっていくのではないか。私はそう考えている。今後の仕事でも鏡で自分を見つめ、仕事の成功につなげたい。

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