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相手の立場になって考え、行動する

  第20回産業論文コンクール  努力賞
 ニッタ株式会社奈良工場   岩垣あなん 氏 

  相手の立場になって考え、行動する

 「相手の立場になって考え、行動する」ことが、良好な人間関係を築くために重要であることは、理解しているつもりであった。しかし、学生から社会人になり、自身を取り巻く環境が大きく変化したこの一年と半年の間で、その本当の意味に気づくことができたと思う。本論文では、研修や配属先で、「相手の立場になって考え、行動する」ことで学んだこと、気づいたことについて述べていく。

 ①伝えると伝わる

 「伝えると伝わるは一文字異なるだけで、意味が全く異なる。発表の際は、相手に伝わることを意識するように。」研修中、研修担当者から何度かこの言葉をいただいた。

 私は元々、人前で話す時に酷くあがってしまうため、人前で発表をすることに苦手意識を持っていた。研修中もさまざまな発表の機会をいただいた。しかし、振り返ると、研修担当者からかけてもらった言葉を一度も体現することは出来ていなかったと思われる。それは、この言葉の意味を正しく理解していなかったからだ。私は、発表資料を見やすく作成し、何度も発表練習を行い、流暢に発表することができれば、相手に「伝わる」と思っていた。

 「伝える」と「伝わる」の違いとは何か。「伝える」とは、情報を知らせようと行動する人を主体とした言葉で、一方通行のコミュニケーションである。一方で、「伝わる」とは情報が相手に知られることを指し、聞き手側を主体とした言葉である。「伝わる」ためには、相手の立場を理解しつつ、双方向でのコミュニケーションが必要である。私は、自分がどのように見られるかばかりを気にして、発表を聞く人が今どのような状況で、どのような背景を持っていて、何を知りたいのか、に目を向けられていなかったのである。

 現在の部署に配属され、このことに気づかされる出来事があった。ある日、私が主体となって、社外の方と打合せを行う機会をいただいた。その際、私は打合せの目的や伝えたいことについて、入念に準備を行った。打合せの前に、準備をした事柄を指導員に伝え、打合せの進め方について確認をとった。すると、指導員からは「相手が知りたいことにももっと目を向けてみよう。」と、助言をいただいた。この時、私は自分のことしか見えておらず、相手の立場になって考えることが出来ていないことに気付かされたのである。

 実際に先輩方が発表や打合せを行う際は、最低でも、インターネットで検索して分かる相手の情報は、全て調べ理解していた。相手が知りたいことを考え、それに応じた準備を行っていた。同じパワーポイントを使った説明でも、聞き手が異なれば、説明の仕方を変え、相手に「伝わる」ための努力を行っていた。

 限りある時間を割いて自分のために時間を作ってくれた人に、敬意とおもいやりを持つことで、相手の立場になって考え行動することができるのだと気づいた。相手への敬意とおもいやりの先に、「伝わる」発表があることを学んだ。今では人前で話すことが苦手だと公言していた自分を恥ずかしく感じている。

 ②チームで働くということ

 大学生の時、私は一人で一つのテーマについて研究を行っていた。そのため、自分で決めた目標に対して大まかな計画を立て、自分のペースで実験を進めた。目標が達成できなくても、自分が悔しい思いをするだけで、誰にも迷惑をかけることはなかった。

 一方で、現在は複数人で一つのテーマの研究開発を行っている。チームには、いつまでに何をやり遂げるのか、明確で詳細な目標が掲げられている。チームメンバーそれぞれが役割を持ち、目標を達成するためにひとつひとつの仕事を正確に行い、納期を守ることが求められる。大学時代とは大きく異なり、自分の仕事の先に相手の仕事が存在するのである。

 私は半年前から、主に分析業務を任され、担当している。任された当初は特に、スケジュールを甘く見積もり、納期を守れないことが度々あった。納期を守れないことが分かった場合でも、私は目の前の仕事を終わらせることを最優先に考えた。チームメンバーに迷惑をかけないためには、とにかく一日でも早く任された仕事を終わらせて、報告することが最善であると、考えていた。

 しかし、実際に私の仕事が遅れたことで、チームメンバーの仕事にも遅れが生じてしまう出来事があった。その際に初めて、自分の仕事が如何に相手の仕事と繋がっているのかを認識することができた。何よりも初めに、自分の仕事の進捗を的確に報告することが重要であったことに気づかされた。組織で仕事をする上で、報告・連絡・相談(報連相)が最も重要であることは理解しているつもりであった。しかしこの経験を通じて、なぜ報連相が重要であるのかを理解することができた。チームで働く上では、自分が行った仕事の先にある相手の仕事にも目を向けて、今取るべきことを考えて行動することが重要であるのだ。

 私は社会人として、部署の一員として、まだまだわからないこと、できないことが山積みに存在している。しかしこれから先も、どのような仕事に対しても、相手の立場になって考え、真摯に向き合い続けたい。そして、一日でも早く、周囲の人に貢献できる人材になることを目標としていく。

 

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