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信頼を得るには

 第20回産業論文コンクール  努力賞
 株式会社きんでん奈良支店  梅澤綾子 氏 

  信頼を得るには

 目に見えない高い技術力が弊社の強みであり、高い信用につながっていると入社後しばらくしてからの研修で教わった。実際、周りの先輩方や上司の方々は現場に出る出ない関係なく、積み重ねてきた経験や技術力、それらから築いてきた信頼を武器にして仕事をされている。私は学生時代、現在の仕事内容や業界とは異なる分野を専攻していたために、まったくといっていいほど専門知識がないまま事務として入社することとなった。現在、弊社に入社してから約3ヶ月近く経ったが、業界についても社会についてもまだまだ知識が浅く、たくさんの方に助けていただきながら、今日まで働くことができている。非常にありがたいことだと思う。

 私は将来、弊社の強みのひとつである「信頼」を生かして仕事をしたいと考えている。ただ、経験も技術もない新入社員の自分はどうやって信頼を得ていけばいいだろうか。結論として、現時点の自分にできることは主に二つあると考えた。

 まず一つ目は、丁寧かつ確実に仕事をすることだ。入社してしばらくは、自分がゆっくり仕事をすることで業務に滞りがあってはならないと思い、迅速に仕事を進めることにのみ目が行っていた。しかし、速さも重要だが遅くとも確実にミスのないような仕事をすることで、ケアレスミスも減らせて修正するタイムロスも防げ、最終的に速い仕事になることに気づくことができた。ケアレスミスを頻発させていた当初よりも、確実に手順を確認しながら仕事を進めた時の方が、遥かに迅速に終わり、手順もすんなりと覚えられたように感じた。また、並行して仕事を進めなくてはならない時に焦ってパニックになることも減った。

 仕事が速い人は良い仕事をする人、という考えに惑わされていたが、この経験からゆっくりでもミスの無い仕事をする人のほうが結果として良い仕事をする人であり、高い信頼を得ることにつながるのではないか、と考えるようになった。また、ミスをしないように入念にチェックしながら仕事をすることで自身を省みる時間を取りながら仕事を進めることができ、経験の蓄積という面でも効率的であると考えた。将来的に丁寧かつ迅速な仕事ができるようにするためにも、今は土台づくりとしてもゆっくり丁寧で確実な仕事を意識して行っていく。

 そして二つ目は、つながりを意識することだ。学生の頃、レポート提出や研究などは、基本的にひとりで行うことが多かった。教授に課題や研究結果を提出してしまえばそれで終わりであることが多く、学生生活最後に提出した卒業論文も、締め切り時間間際まで推敲を重ねて執筆していたのを記憶している。このようなことができたのは、0から100までの工程をほとんど自己完結できていたためだ。そのために、提出した課題がその後どう処理されるのかなど、そこまで他とのつながりを重視しなくても特に支障はなかった。

 しかし、社会人になってから私が毎日行っている業務は、自身が評価されるためのものではなく、会社や組織が評価されるためのものである。勤務時間内に行う多くの業務も、客先から受注して納品するまでのうちのごくわずかな一業務で、その前後には多くの工程が組まれている。期限までであれば、なんとか体裁を整えてぎりぎりに出せばいいという話ではなく、自分の後に処理をする人のことを考え余裕を持たなければならない。そのため、この後の工程に関わる人が分かりやすく、スムーズに業務に取り掛かれるよう、なぜこの工程を踏まなければならないのか、この書類は誰が何のために確認するのか等一つ一つの仕事の意味を考え、理解しながら行うことが求められる。このつながりを日ごろから少しでも意識することが、これから信頼を得ていくためのヒントとなりうるのではないだろうか。私は基本的に、前後にある社外での業務を実際に見ることは少ない。書類処理等社内で行う業務がほとんどであるため、少し焦ってしまうとすぐに視野が狭くなり、目に見えない前後のつながりを忘れてしまいがちになる。目の前にある業務をただただこなそうとするのではなく、取り掛かる前にどのような過程を経てこの仕事が自分に回ってきているのかを考えてそれに沿うように処理をする、後の人が分かりやすいようにメモを残す、そして余裕を持った仕事をするなど、自分にできる範囲から気を配ることを常に意識したい。

 本稿では信頼を得るために今の自分は何ができるかとして以上の二つを挙げたが、この二つだけを実行していれば必ず信頼を得ることができるわけではない。専門的な知識を得ること、経験から技術を身につけることなど多くの要素から高い信頼は構成されている。また、自分としてはどちらも常に意識して実行できるところまでは至っていないと感じている。経験の差をすぐに埋めることができるとは思っていないが、目の前のことを一つずつ着実にこなしていくことによって自分なりの技術力を身につけ、まずは一社会人として信頼を得ることができるようになりたい。それが結果的に会社や組織の信用につながり、評価されることの一翼を担うことができる。将来的にそのような人材になることを目指して業務に取り組みたいと思う。

 

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