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考え方の変化

第2回産業論文コンクール 努力賞
小山(株) 山口 瞬さん

今年で満24歳になる私は、昨年の11月に入社しました。大学を卒業し、半年以上も経ってからのことです。大学を卒業してからの私は、いわゆるフリーターで、様々な業種、職種のアルバイトをし、貯まったお金で欲しいものを買ったり、遊びに行ったりと、今思えば、何の成長も見込めないような生活を送っていました。もちろん大学に通っている際に、就職活動は行いましたが、大した目的意識もなく、何の為に就職活動をしているのかという疑問を常に持っていました。その結果、面接の場において、体裁を取り繕うことしかできず、また、そうしている自分に対しても嫌悪感を抱いていました。周囲が次々と就職という新たなステージへの準備を始める中で、自分だけが取り残されていく感覚を覚え、この時期は自分に対する嫌悪感と、他人に対しての劣等感を抱いた時期でした。
しかし、このように時間を持て余した時期で必然的に自分自身について考える時間が増えました。過去の自分、現在の自分、未来の自分という3つの時間軸で、物の考え方や人との接し方、または社会における自分の位置など、様々な視点から比較しました。結果として、物の考え方というものは、その時、その場でどういう人と接するかにより変化するものだと考えるようになりました。
さて、晴れて社会人となった私ですが、既にあらゆる物についての考え方が変化してきています。まずは金銭についてです。社会人になる前は、毎日の食事や居住空間、おこずかいに至るまで、あらゆるすべての生活費は両親の手によって運ばれてくるものでした。ですから、金銭に対して、私自身が深く考えることはなく、語弊があるかもしれませんが、金銭はあって当たり前の感覚でした。しかし、社会人となり、金銭を自分の手で得るようになってから、その感覚は一掃されました。金銭を得る上での苦労、労力を知ることで、より金銭を大事にし、使い方も自然と慎重になりました。
また、両親に対する考え方、態度も変化してきています。子供のために、苦労して金銭を稼ぎ、子供のために使ってくれる。ふと、恩を着せるようなことを言いますが、それは本気ではなく冗談としてです。まだ子供を持っていない私が、ここまでできるかどうか正直自信が持てないくらい、子供を第一に考えていました。ですからその分、人一倍感謝し、人一倍恩を返していこうと考えます。意見の食い違いにより、何度もぶつかり、家を追い出されたこともありますが、今は私が両親を第一に考えるようにしています。また両親が子供に接する態度を参考にし、将来に生かしたいと考えます。
ここまで、金銭と両親に対する考え方の変化を述べましたが、最も考え方が変化したことは、時間についてです。以前は使い余していましたが、今では毎日の一分、一秒が惜しいと考えます。入社してから早一年が過ぎようとしていますが、本当にあっという間です。仕事をする上で、時間の使い方が最も重要であると実感しています。まずは入社してからの三年を一つの区切りとし、精一杯仕事を覚えたいと考えます。また、仕事以外の時間、いわゆるプライベートの時間も大切にするようになりました。この時間をストレス解消や自己実現のための貴重な時間と捉え、常に行動するよう心がけています。
最後に、一人の社会人となった上で、一つ一つの行動に責任が生じるようになりました。自分の感情だけで行動することはもうできません。しかし、フリーターを経験した私にとって、そうした責任は時に喜ばしく思えます。そう思えることもまた、自分自身の考え方の変化を実感できます。物の考え方、捉え方は、その場、その時で少しずつ変化していき、やがて一つのアイデンティティとして成り立つのでしょう。すべての行動に責任を持ちつつ、また、今後も考え方の変化を実感しながら、仕事をしていきたいと考えます。

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