私の課題とその改善について
第19回産業論文コンクール 優良賞
株式会社ヒラノテクシード 明神智巴弥 氏
『 私の課題とその改善について 』
私は今年度から株式会社ヒラノテクシードに入社し、開発部に配属となった。塗工装置の設計・製造・研究開発という、私が大学で専攻していた内容とは全く異なる分野の業務で、基礎的な内容から日々勉強させていただいている。ものづくりに携わり、たとえば電気図面を書く、動作させるためのラダープログラムを作成することには、躓くこともあるがとてもやりがいを感じている。先日初めて図面を完成させた時には、印刷してファイルに綴じてしまうほど嬉しかった。
技術的な面についてもだが、社会的な面についても多く学ぶことがある。本論文では入社四か月で見えてきた二つの課題と、周りの方から学ばせていただいた改善の方法について述べ、これから私が仕事をしていくうえで、どのような人間を目標とすべきかについて考えていく。
一つ目の課題は、伝達が不十分、不完全であることだ。私は伝える、報告するということが苦手である。入社後、時間を取らせてしまうだろうかと思い報告ができず、結果相手から聞かれるまで伝えられない、ということが往々にしてあった。またいざ聞けたとしても、話したいことをうまくまとめられず、要点が伝わらないこともしばしばだ。
この改善策として有用なのが、「結論を先に伝える」ということである。ちょうど今やったように、この方法は相手に時間を取らせず要点を伝えることができる。またこの方法をとるためには自分が「何が結論であるか」を吟味する必要があり、前もって内容をまとめることにつながる。
先輩方や話の上手な同期は、まず何をしてほしいのか明確に伝え、そこから詳細を補足する、という流れで指示をくださることが多く、聞く立場としても「今からこの話が始まるのだな」という心構えを持つことができる。そうすると内容も系統立てられ、理解することが容易になる。よく言われる手法ではあるが、結論を先に伝えることの重要さは、社会人になってから特に実感できたもののひとつだ。
二つ目の課題として挙げられるのが、伝達を受ける姿勢が取れていない、ということである。私は焦っている時や集中している時には周りが見えなくなってしまい、話しかけてもらってもうまく受け答えられないことがある。結果、私が忙しい時には、うまく必要な情報を聞き出せない、相手が声をかけるのを遠慮する、などの要因で、伝達がスムーズに行われない場合があった。
この解決策として考えられるものが二つある。一つ目は、自分から何か伝達がないか、定期的に相手に尋ねることである。例えば、自分の仕事に区切りがついた時点で、ほかに何か手伝えることがないか聞く。分担した作業があればどこまで終わったか、配分はこのままでいいかなどすり合わせる。自分から情報を聞き出す姿勢をとることは、自分が「話を聞く」体制で会話に臨むことができるため、内容の整理がしやすくなる。
これは先輩方の手法を参考にした解決策である。彼らは私に任せていた仕事の進捗を定期的に尋ねて、浮かんだ疑問に答え補足の説明を行う、もしくは個別の面談の場を用意し、現状や今後について話しやすい状況にするなど、相手の話が聞きやすい状態を自ら作っている。
もう一つの解決策は、意識的に周りの様子をうかがう時間を設ける、ということである。常に周りに気を配り続けることは難しいが、作業にめどがたった時や、気が付いた時に注意する習慣はつけられる。そして同じ仕事をしている人がどんな話をしているのか、こちらを気にかけている人がいないかを確認する。
同じようなことを取り組んでいる方が社内にいる。私が話しかけていいのだろうかと迷っていると、ふと顔を上げてこちらに気が付き、声をかけてくださることや、困っているという話を聞きつけて手を貸してくださることがあり、非常に助けられている。私もこの行動を見習って、円滑な情報共有を心掛けたい。
以上が私の課題とその改善点である。いや、以上ではない。私の課題は、気が付いているものも気が付いていないものもまだまだたくさん残っている。今回は特にコミュニケーションにまつわるものが多かったが、仕事への取り組み方、マナーや態度、技術や語学の知識など身に着けなければならないことは多い。
本論文で取り組んだように、今後も先輩方や同期のふるまいを参考にし、自らの課題を見つけ、その改善策を探す活動を続けていきたい。そしてゆくゆくは、私のような新入社員が参考としてくれるような良い先輩、社会人となることが、今の私の目標である。