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これからの企業・仕事を考える~立派な社会人とは~

第18回産業論文コンクール     優良賞
    住江織物株式会社奈良事業所  大島健太 氏
    
        『 これからの企業・仕事を考える~立派な社会人とは~ 』

  今年の4月に入社し、社会人となって、早4か月が経過した。つい先ほどまで学生であったが、お給料をいただく身となり5か月も経ったのだ。この期間で学生の頃と比べ、成長できているのか不安に思うこともあるが、職場の上司・先輩方から多くのことを学ばせていただき、立派な社会人に成長できるように日々取り組んできた。しかし、立派な社会人とはそもそもどういったものか、今回の産業論文執筆にあたりその疑問が浮上した。それについて考えていた時、私は大学・大学院の研究室でご指導いただいた教授の言葉を思い出した。教授は、「これからの人生、“学生”とは立場も日々の業務も全く異なる“社会人”になるのだ。」と常々おっしゃっていた。教授には知識・技術だけでなく、ものごとに対する考え方も教えていただいた。立派な社会人とはどのような人物なのか、その教授に教えていただいたことから私なりに考えた。私が考える立派な社会人とは、仕事をスピーディーにこなすことで納期を守り、そして楽しみながら仕事に取り組むことができる人だと考える。そう考えるに至った教授の教えを今ここで振り返り、そのために必要なことを考えていきたい。

 学生の頃、研究を進めていく際によく行き詰まっていた。なぜこの化学反応が進んだのだろう?もっと良くなる方法は何だろう?と考え込むことが多かった。そんな私に教授は「考えるのも大事だが、まず手を動かせ。」と助言をくださった。頭で考え、最適な手順が見つかるのならそれに越したことはないが、頭でっかちにずっと考え続けるだけでは物事はほとんど進展しない。泥臭いが、何か可能性があるのなら、まずやってみろという教えだ。実際に私はそれに従って研究を進め、失敗も多かったが良い結果も得られた。結果が出れば、その理由も自ずと付いてくる。大学で行われる研究ではスピードや結果の良し悪しももちろん大切だが、それよりも結果の考察内容に重きが置かれる。しかし社会人においては何よりも納期までに良い結果を出すことが重要だ。短い期間で必ず成果を出すには、頭でじっくりと考え込む余裕はあまりない。しかし、どのタイミングで手を動かす段階に切り替えるのか。そのタイミングの判断は新入社員の私にはまだまだ難しい。したがって私は、上司・先輩方に随時相談した上で判断していきたいと思う。そのようにして、切り替えるべき最適なタイミングを身に着けていきたい。私が考える立派な社会人の要素の一つは納期を守ることだ。そのために、しばらく考えても最適なものが思いつかなければ、さらに深く考え込んでしまう前にまず手を動かし、立ち止まることなく常に前進し続けるようにしていきたいと思う。

 まずやってみるというこの考え方は新しいテーマへの取り込みにも通ずるのではないだろうか。私は今の部署にて先輩の業務の一部に携わることを通して基本的な知識を教わりつつ、新規テーマについても携わらせていただいている。新しいことを始める際にはまず、先行研究や関連特許等の調査は当然ながら大事なことであるが、ある程度調査を終えれば、あとは手を動かすことが最も重要になってくると考える。失敗しようとも手を動かさなければ結果は生まれないためだ。むしろ失敗からも新しい知見や経験も得られ、成功へと一歩近づくだろう。手を動かさなければ何も進展しないということは、至極当然の事実なのかもしれないが、それを私は研究室にて経験することができた。この貴重な経験をこれからの業務に活かしていきたい。幸いなことに弊社の社長は「失敗すること以上にその挑戦する意欲を重視しています。少々の失敗では会社はビクともしません。」(引用:住江織物株式会社 HP)とおっしゃっているので、失敗を恐れず手を動かし、挑戦し続けたいと思う。

 私が考える立派な社会人のもう一つの要素として、楽しみながら仕事に取り組めることを挙げた。私は研究に行き詰まると教授の元へよく相談に行き、その都度アドバイスをいただいた。その通りに行うと良い結果を得られることが多かった。研究が前進し喜んでいたが、そんな私に教授は「言われたことをそのまま実行させる力も大切だが、自分の考えを持つようにしろ。そうすると、これまで以上に楽しくなり、より好きになっていける。好きでないと良いものを生み出せない。」と助言をくださった。今になって考えてみると、研究テーマは教授から与えられたもので、私が本当にやりたかったことではなく、その時点では心からは楽しめていなかったのではないだろうか。教授のその言葉を受け、私は自分の考えを常に持ちながら研究を進めるように意識した。教授とディスカッションを行いながら試行錯誤を続けた。自分のアイデアから生まれた新しい発見もあり、気が付けば自身の研究テーマが好きになっていた。これは仕事でも同じようなものではないだろうか。特に仕事というものは自分がしたいことだとは限らない。しかしだからこそ、やれと言われたことをただやるだけではなく、自分の考えを持ちながら仕事に取り組みたい。研究室でも同様だったが、仕事においても必ずしも自分の意見が通るとは限らない。しかし、自分とは異なる意見も肯定的に受け取れるようにしたい。能動的に取り組むことができていれば自分の思い通りにならなくとも、仕事が進むことで愛着は湧いてくるのではないだろうか。そして、いずれはその仕事を自分の子供の様に大切な存在だと思えるようになりたい。嫌々やっていては良いものは生まれず、自分のためにもならない。何より先方に失礼だ。私が考える立派な社会人の要素である、楽しみながら仕事に取り組むことができるようになるために、自分の意見を持ち、愛着持って仕事に取組んでいくようにしていきたい。

 私が考える立派な社会人とはどのようなものなのか、そうなるためには何が必要なのか、教授から教わったことを通して考えた。立派な社会人となるために、私は仕事に取り組む際は、立ち止まらず、まずは手を動かし、そして自分の意見を持つことで仕事を好きになっていけるように意識を持ち続けたい。しかしこれから先、これら教授の言葉を実践するだけでは成長し続けることはできない。もちろん教授の言葉は活かしつつ、これから仕事をしていく中で職場の上司・先輩方、私生活からも多くを学び取る姿勢を忘れず、私が思う立派な社会人像やそのために必要なことを常にアップデートしていきたい。

 

 

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