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二年半で成長したこと

第18回産業論文コンクール     最優秀賞
     草竹コンクリート工業株式会社  HNIN AYE WAI 氏
    
                  『 二年半で成長したこと 』

 

 私は、東南アジアの国の一つ、ミャンマーの出身だ。ミャンマーは、タイ、ラオス、中国、インド、バンクラデシュの各国と隣接していて、ベンガル湾やアンダマン海をも有する自然豊かな国である。私は、旅行が趣味で、故郷の海の波音や山頂から見える景色が大好きだった。そして母国では日本のテレビ番組を見るのも好きで、日本に興味を抱いていた。
 そのため、母国で行われた日本企業の就職説明会に参加し、災害を防ぎ、自然を守るコンクリート製品を製造している会社に興味を持って応募の結果、採用をいただいて、現在その会社で働いている。
 入社後は、技術部に配属されて設計を主に行っている。様々な事を、業務を通じて教えていただきながら日々勉強し、2年半が経過した。素敵な山河など、かけがえのない自然を守っている会社に勤めることができて嬉しく思っている。働きながら少しずつ成長したと感じている4点について述べていきたい。

①   仕事の全体を理解する

 私の主な仕事は、お客様の土木現場の状況に応じ、自社製コンクリートブロックの使用を示した割付図面の作成、ブロックで施工された擁壁の安定性計算や各種ブロックを表す図面の作成などである。
 入社後の研修時や技術部に配属されたばかりの頃は、仕事の内容や流れを覚えることに集中し、何故その仕事が必要なのか、何に使用する物なのかなど、仕事の目的を自ら質問出来なかった。このように目的を理解せずに仕事を進めると、気付かないうちにピントがずれて、仕事のやり直しや修正など、無駄な時間をかけてしまうことが多かった。例えば、擁壁には道路用と宅地用の2種類があって、それぞれ設置する排水パイプの位置が異なる。道路用は、擁壁の全面に配置するが、宅地用は、擁壁の見える高さの半分以下の壁面に配置しなければならない。なぜ宅地の場合は全面に配置してはいけないのか。それは「水を効率よく排水する為」という理由を理解することができると、時々割付図で間違って配置してしまったミスも、2度と起こることはなかった。
 このようなO J Tを通じて学んだ事は、仕事を受けたら先ず5W2Hを一つ一つ確認し、その内一つでも疑問が生じたら必ず質問し、解決して仕事を進めている。

②   コミュニケーションを大切にする

 日本に来て数日経ったある日、電車の中で席を譲る時に、「どうぞ座って(すわって)ください」というつもりが、「どうぞ触って(さわって)ください」と言ってしまい、恥ずかしい思いをした。会社でも部署の朝礼で先輩のスピーチを聞き、「衣替え」を「子供が得」(こどもがえ)と思って「おめでとうございます」と言ってしまったこともある。
 日本語が流暢ではなかった頃の私は、仕事を受ける時や仕事の進捗報告をする時も上手く日本語が伝わらないことが多かった。仕事は人と人のコミュニケーションなくしてはうまくいかない。私は、新入社員研修の時に教わった「報告、連絡、相談」を常に意識し、ささいなことでも必ず書き、話すようにした。相手のことを思いやり、沢山の仕事を抱えている上司に報告する時は、自分が話したい情報より上司が求めていること、必要なことは何かを考えて結論から簡潔に報告するのも大切であると学んだ。自分が正しいタイミングで連絡や相談をすることにより、上司の仕事の進め方も効率よくなると思う。自分の行動一つ一つが重要であると理解し、コミュニケーションを大切にするようになった。今は、お客様と直接仕事のやり取りも行い、自信につながっている。

③   チームの一員として行動する

 技術部に配属され、今は、主に上司をサポートとし、新製品の開発やカタログ作成などを担当しているが、他部署やお客様からの依頼業務も多い。急ぎの依頼には焦ってしまい、なぜもっと早く依頼してくれないのかと思うこともあった。しかし、先輩達から「受注、生産、出荷」のプロセスを通し、自分の部署以外の役割や社外の話などを教えてもらい、製品を一個でも多く受注して売り上げを伸ばすために行動しているのだと理解した。また、他の部署が自分の部署のために様々なサポートをしてくれていることも知った。会社では部署によって役割や立場が異なるが、同じ目標に向かい協力し、結果を出している。「人にやさしい未来、人と環境のよりよい関係を願って」という会社のスローガンを実現し、それを喜び分かち合うチームの一員として自覚が芽生えた。今はどんな仕事でも積極的に協力している。

④   ストレスをコントロールする

 ストレスの感じ方は、周りの環境や性格により、人それぞれ異なると思う。
  私もストレスを感じる時がある。新しい仕事は、「もしかすると失敗するのでは」と不安に思う。作業の途中で内容が難しい時は、時間通りに終わるかと焦り、思い通りに作業を進められないことがある。そのため、仕事に取り掛かる前に、その日に行うべき作業を箇条書きした「To Do リスト」を書くようにした。「仕事のストレスは、計画や段取りなどに起因していることがある」と本で読んだからである。1日の仕事を終えてから、予定していた作業ができたかを再びリストでチェックをする。出来なかった事は明日に持ち越すのか、あるいはいつに振り替えるかを決める。また、作業の順番を考えるのも大切である。「その作業が大事か」「その作業にかかる時間と使える時間」などを考えて、次に何をすべきかを選択しやすいようにルールを決めた。
 こうすることで徐々にストレスをコントロールすることができ、余計な不安を感じずに仕事に集中できて効率もアップしていると感じている。

 最後に、この論文を通して仕事とは自己成長の機会であると再確認した。仕事をスムーズに進めるためには、コミュニケーション能力や人間関係構築力、課題に挑戦していくチャレンジ精神など、非常に多くの要素が求められるからである。特に、人見知りする私は、コミュニケーションという大きな壁に果敢にチャレンジし、知識や経験を増やして、試行錯誤しながらもこれらを乗り越えていく力がもっと必要だと感じている。まだまだ未熟な点も多い私ですが、課題を一つ一つ乗り越えて、将来的には会社の新規事業立ち上げなど重要な仕事に携われるような人材になりたい。以上

                  

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