これまでの経験と気づき
第17回産業論文コンクール 優良賞
株式会社ヒラノテクシード 益谷幸佑 氏
『これまでの経験と気づき』
入社して2年半がたち、多くの貴重な経験をさせていただいた。その経験から私は、ただ仕事をこなすだけでなく、円滑にこなすためのポイントを見つけた。
1.なんでも挑戦してみる
もともと私は失敗したり恥をかくのが嫌で、あまり積極的に挑戦する人間ではなかった。
そんな私だが、長期での海外出張の案件をいただく機会があった。その話をいただいたときは、行ったことのない国に何か月も滞在することや、現地での作業や生活がどのようなものか全く想像がつかず不安だった。しかし、実際にやってみることでいろいろなことを感じ、知ることもできた。
海外出張の際には、現地の人とコミュニケーションをとる必要があり、うまく伝えられるか不安だったのだが、ジェスチャーや絵を使えば伝えることができるとわかり、完璧に会話する必要はないと気付き、自信をもってコミュニケーションをとることができるようになった。
また、休日に観光地を訪れたときのこと。外国人の子供が数人近づいてきて、花を渡してくることがあった。観光客に配っているのかなと思い何気なく受け取ったところ、金をくれとせがまれた。その時は、日本では考えられない状況に驚き、一瞬頭が真っ白になった。その時は何も考えられず、お金を渡してしまったが、普段なら決してありえない体験ができたことや、固定観念が崩れて視野が広がったことは、結果的によい経験だったと感じる。
このように、違う環境でしか得られない経験や、違う視点から普段の生活について改めて考えることができる経験というのは貴重なものである。また、違う環境に挑戦することで、不安ながらその状況を乗り越えたときには、また違った環境に置かれた場合にも臨機応変に対処する力がつくと考える。
2.周りの人に喜んでもらうことをする。
私の仕事の内容には、現地に出張して納入する機械の試運転を行うものがあり、その途中に室温50℃ほどの厳しい環境の中で作業することがあるのだが、あるとき作業がうまくいかず先輩方やほかの作業員の方の表情もだんだんと険しくなっているときがあった。
長時間の暑い環境下での作業でのどが渇いた私は、自分の飲み物を買ったついでに何気なく差し入れとしてお茶を買って持っていった。するとペットボトルを渡したときに、どの人も険しかった顔が一瞬で笑顔に変わったのだ。たかがペットボトル1本で、こんなにも人の表情が変わるのかと衝撃を受けたと同時に、その時、私はそうかと気づかされたのだ。それは、仕事を円滑に進めるにはどうしたら他の人が喜んでくれるかを考えることが大切だということだった。お客様が欲しいものに応えるというものはもちろんのこと、一緒に仕事をする仲間がどうしたら気持ちよく仕事ができるのかを考えることも、仕事を円滑に進める上ではとても大切なのである。
3.期限を設ける
私の仕事の内容の一つに設計業務がある。どの業務にも必ず納期というものがあるが、そこまでに仕事を終わらせるのではなく、それより少し前に期限を設定しておくことが大切であると考える。以前設計業務を行っていた時に、はじめは納期を目指して業務を行っていた。しかし、設計業務の間にも突発的に小さい仕事や急ぎの仕事が入ることもあり、期限間近での提出となった。期限に間に合ったと安堵していたが、提出した後も手直しの必要がでてきてしまい、結果的に納期を守ることができなかった。そこで、次のプロジェクトのときには納期を目指すのではなく、突発的な案件や手直しにかかる時間を含めた上で自分なりの期限を設定することにした。業務を進めていくうちに、やはり思いがけず時間を取られる案件は次々に入ってきたが、先を見越して早めに進めていたことで、納期に間に合わせることができた。この経験から、
仕事をうまく回すためには、自分なりの期限を設定することが大切であるといえる。
4.いち早く反応する
どんな仕事に関しても、反応速度の速さは大切だと私は考える。というのも、早く反応することにはいろいろな利点があるからだ。例えば、社外の方に作業をお願いすることがあるのだが、しばしば質問の連絡が入ってくる。質問の返答に時間がかかりそうなときはつい後回しにしてしまいがちだが、そうすると社外の方の作業を止めてしまうことになってしまうので、最終的に自分にしわ寄せが返ってくることになるのである。プロジェクト全体で考えたときには、円滑に作業を進めるためにも早く返答することが大切なのだ。
また、自分の業務に集中するために早く反応することが大切である。自分の業務をこなしているときにも次々と案件が舞い込んでくることがあるだろう。そんなときに、返すのが面倒だからと後回しにしていても、頭のどこかでやらなければと思いながら業務を行うので集中できない。また小さな案件でも、後回しにしていることで次々に舞い込んでくる他の案件に埋まって忘れてしまう危険性もある。業務を正確に行うためにも、余計なことは頭の片隅に置いておかずに、素早く終わらせてメインの業務に全力を注ぐのが大切だということだ。
これらの様々な経験から、仕事をしていく中で大切なことに気づくことができた。これからも経験を重ね、気づきを増やすことで日々の業務に活かしていきたいと思う。