顧客満足に対する考え方~倉庫からの営業~
第14回産業論文コンクール 優秀賞
小山株式会社 富塚史也 氏
『顧客満足に対する考え方~倉庫からの営業』
アメリカの調査会社で顧客満足度と売上の増減関係が研究されている。その結果、顧客満足度の高い企業が比例して売上を上げており、顧客満足度の低い企業は数パーセント売上を落とす結果となっている。顧客満足度が企業の売上に大きく影響していることが明確に分かる。
では顧客満足度を向上するにはどのようにすればいいのか、また、私に何ができるのかを考えてみた。
私は福祉用具卸業者で働いており、倉庫業務を担当している。日々のルーチンは商品出荷の準備をし、電話での問い合わせに対する在庫有無の確認をし、配送担当者へ商品を渡すことと倉庫内の整理だ。
そして直接ご来社して下さるお客様の対応も行っている。
現在勤務している関東事業所に赴任するまでは、倉庫業務では直接お客様と関わることはないものだと想像していた。
しかし、倉庫業務を行う中での「ご来社」という形でお客様と関わることが出来ると分かった。
私は初めてのご来社対応をした時、挨拶と商品を渡すという一通りのことのみ行った。しかし、数分後別のお客様がご来社された際先輩が対応して下さり、私との違いに息をのんだ。
先輩は挨拶と商品のお渡しをするだけではなく、笑い話を交えてお客様の現状確認や商品に対する意見の聞き取りなどをしていた。さらには新商品の説明と売り込みまで上手く盛り込んでいた。
そして最終的には「またお願いしますね」と言ってお客様は笑顔でお帰りになった。
私は倉庫業務をしている限り、営業はできないものだと思っていた。しかし実際には担当をしている営業マンが不在の場合、お客様対応をするのはほかでもない倉庫にいる自分であると認識した。同時にお客様の笑顔、ひいては、満足度は営業・倉庫・事務、全てのスタッフの接客態度も大きく影響していることに気がついた。お客様は商品そのもの以外にも、人と人とのつながりを付加価値として求められているのだと思った。
しかしながらお客様によって満足を感じる要素はさまざまで、それを判断するのは容易ではない。
当社のような卸業者は多種多様な商品を取り扱っており、お客様はそれらひとつひとつを吟味しているわけではない。商品の品揃えや立地、価格など総合的に判断して発注をしている。立地や価格に関しては、私の努力でどうにかできることではないが、自分でも顧客満足につながる行動ができるはずだ。
倉庫内の清潔感を常に保ち、お客様が気持ちよくご来社していただける雰囲気を心がけることだ。
また、お客様の求める商品を今よりもっとスピーディに探し、返品、交換の申し出にも快く応じるようにしたいと思う。
そして商品知識も更に高めていき、安心してご利用いただけるよう案内したい。
私にはまだ先輩達のようなトークスキルはなく、コミュニケーションをとることが即顧客満足につながるまではいたらないので、まずはお客様の声を聞くことからはじめようと思う。お客様のご意見を参考に、より良い商品の提供を行い、信頼関係を築きあげていくことが非常に大事だと思う。この信頼関係こそが同業他社との大きな差別化になると考えられる。
倉庫や事務所の雰囲気、接客態度、従業員のサービスで顧客満足度を高めることによって、お客様が固定客となり、リピーターになってくださるはずだ。
こうして顧客満足を向上していけたなら、おのずと会社の売り上げは上がっていき、会社全体の底上げにもなるはずだ。