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会社に必要なこと

第10回産業論文コンクール努力賞
三笠産業株式会社  能美耕太郎 さん

 

  社会とはなにか、会社とはなにかと理解が十分でない状態で会社に入社し、一年と四カ月がたち、また、現在の部署の配属となり十カ月がたった。現在自分自身が与えられている業務に関しては上司からの指導やOJTで学ぶことができ、自分の中では最低限の業務プラスアルファの業務ができるようになってきたと自負している。だが、会社全体のこと、また社会全体のことに関しては、まだまだ理解が及んでいないことが多くあると痛感している。
 
一社会人としてまだまだ成長の途中である私だが、会社という組織はあるものに似ていると感じた。私はこの短期間ではあるが業務を通して、会社は一つの人間のような生物に似ていると感じた。一つ一つの部署が生物でいう肺や心臓、肝臓といった臓器であり、会社という大きな生物を支える重要な役割を担っているものであるように思う。また、臓器のうち一つでも不具合がでれば、あるいは臓器間での連携に不具合がでれば生命維持に支障をきたしてしまうような、つまり経営状態に支障をきたしてしまうような性質を持ったものであるように感じた。
 
では、会社を人間あるいは生物と考えた時、「生きていく」にはどのようなことが必要だろうか。私はそのためには少なくとも四つのことが必要なのではないかと考えた。
 一つ目の必要なこととは、一つ一つの臓器が正常に稼働すること、つまり、一つ一つの部署がきちんと役割を理解し、しっかりとその役割を果たすということだ。生物は臓器一つ一つが正常に稼働していて初めて正常に一つの生物としての機能を全うできる。これは会社でも同様のことが言えるのではないか。例えば、会社において営業部門が仕事を獲得してきたとしても、生産部門が正常に稼働しておらず、商品を供給できなかったとしたら、この会社は一つの個体として正常に機能していないと言えるであろう。では、臓器が正常に稼働するには、なにが必要であろうか。生物において臓器が正常に稼働しない原因一つの例として、ガン細胞があげられる。このガン細胞とは臓器を構成する細胞において、正常に機能しない変異した細胞が産み出され、それが増殖することにより、臓器全体あるいは生物が正常に機能しなくなるものである。つまりは、臓器が正常に稼働するには健康な細胞が必要なのである。では、会社という個体の中で細胞とはなにか。私はその細胞とは社員一人一人ではないかと考える。社員一人一人が自分たち、一人一人が会社における重要な役割を担っていることを自覚し、かつその上で自分の与えられた役割を全うすることができれば、会社という一つの個体は正常に機能するのではないかと思う。
 
二つ目に必要なこととは臓器間でしっかりと情報伝達を正常に行うということ、つまりは部署間での情報伝達を正確かつ迅速に行うということだ。例えば、生物では神経を通して必要な情報を身体全体に行き届かせている。この神経に支障が出れば、脳からの指令が臓器に及ばず、生命活動に支障をきたす。私が現在、勤務している会社はメーカーであり、総務部門、経理部門、営業部門、開発技術部門、生産部門などといったさまざまな部門が存在している。私はその中でも現在法務の業務に従事している。その業務の性質上、他部署の方と幅広く接する機会がある。その中で、情報の伝達を的確かつ、迅速に部署間(部署内でももちろんではあるが)で行うことが重要であることを感じている。業務の依頼があった際、依頼の遂行のために必要な情報、意図などを明確に把握した上で業務を進めていかなければならない。つまり、人間でいう神経が会社で言う情報伝達にあたると考えれば、この情報伝達がおろそかになれば会社という生物の生命維持に支障がきたされると考えられる。
 
三つ目に必要と思うことは、明確な目的である。人間は[生きる]という大きな目的があり、生活を続けている。さらに言えば、生きるためになにが必要かということを細分化し、生きるためのどのようなことを行う必要であるかを考え、生活を行っている。これは会社でも同様のことが言えるのではないだろうか。会社では経営陣が掲げた目的に対して、各部署がその目的を達成するために、その部署で達成すべき目的として新たに細分化して社員に指令を出している。このような活動は先に述べたような人間の活動と同様なのではないだろうか。では目的を達成するにはなにが必要であろうか。脳が出した指令を、つまり、会社の経営陣が掲げた指針を部門、もしくは社員一人一人がしっかり、理解、そしゃくしてその掲げた目標に達するにはなにが必要かをしっかりと考えた上で行動することが重要なのではないだろうかと思う。
 
最後の必要なこととは、生物でいう食物や酸素、水、つまり外的な要因を確保することである。当たり前のことであるが、生物はこれまでに述べた臓器の健康、神経を正常な状態を維持するには上記のような外的要因が必要であり、これらを確保することが生きるという目的に直結している。これは会社にも言えるのではないだろうか。仕入れ先がなければ、必要な資材が確保できず、取引先がなければ、利益を得ることはできない。また、周囲の環境の変化、つまり、流行などを敏感に察知し、需要のある商品を製造しなければ、他社との競争に負けてしまう。では、会社において外的要因の中で最も重要なこととはなにか。生物は最低限生きていくには酸素が必要である。会社において、私はこの酸素にあたるものは情報でないかと思う。例えば、どんなに多くの取引先と関係を築いていたとしても、取引先の需要にあわないものをつくっていては利益は得られないし、そもそも情報がなければ、会社は活動できないのではないだろうか。情報を得て、どのようなものが求められているかを知ることが会社にとって最も重要なことであると思う。
 
先にも記述したが一年四カ月という短期間しか社会人として生活していない私なのでこれまでに述べたことは間違っていることもあるかもしれない。
 
だが会社という大きな生物の一部分であるという自覚を持ち、かつその一部分に与えられた役割を全うするということが与えられた使命であることは間違いないと思う。これから会社の成長に寄与できるよう私自身が今以上に成長していきたく思う。

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